◆ Brown's Hotelでアフタヌーンティ ◆

(Afternoon tea at Brown's Hotel)


Big Ben

◆ アフタヌーンティの世界へ

 昔は王侯貴族の習慣だったというアフタヌーンティ。あの三段重ねのトレーで饗される優雅な風習は、いまでもイギリスの庶民にはあまり縁のない世界のようです。でもロンドンの一流ホテルのティーラウンジは午後のゆったりした時間を過ごす華やかな人々でいつもにぎわい、イギリスへ行ったら一度は経験してみたいと長い間憧れていました。そして今回、とうとう私もその至福の時間を過ごすことができました。

Breakfast room service at Brown's Hotel

◆ Brown's Hotel

 私達が宿泊したのはピカディリー界隈の地下鉄Green park駅からほど近いBrown's Hotel。その昔アガサ・クリスティーも定宿にしていたというこのホテルは古びた風情はあるものの今でも老舗の高級ホテルです。ここが実はアフタヌーンティではロンドンでも1、2を争う名門店だったのです。

 ちなみにこのBrown's Hotelは普通は1泊一人30,000円はする4つ星ホテル(ガイドブックによっては5つ星)なんですが、冬場のこの時期は15,000円(コンチネンタル式朝食付)。設備は多少古びてはいますが使い勝手は良く、街の中心地にあるのに部屋もゆったりと広く、なによりサービスのこまやかさに私達はさすが老舗ホテルと感心しました。

 部屋替えをお願いしたときも足の悪い親のために段差のない棟に部屋割りをしてくれて、レンタカーの返却、飛行機のリコンファームなどのサービスはこのくらいのホテルなら当たり前なんでしょうけど、「高級ではない」レストランの紹介を頼んだときもう〜んとうなって、ホテルのすぐ裏手のこじんまりとしたレストランを教えてくれました。
 朝のメイドさんのお掃除だけではなく、夕方にも留守の間にメイドサービスがあったらしいのにはちょっと(散らかし放題だったので)驚きましたが。

 朝食は冷たいお料理のビュッフェ式コンチネンタル(17ポンド)ですが、さらに5ポンド追加でホットディッシュ付きイングリッシュブレックファースト(22ポンド)も可。でも各種フルーツコンポートやヨーグルト、ハム、チーズ、スモークサーモンが食べ放題のコンチネンタル式で十分満足でした。最後の日の朝食は早かったためルームサービスにしたのですが、たっぷりの紅茶、コーヒー、バスケットに盛られたデニッシュ、クロワッサン、カリカリトーストが優雅に真っ白いテーブルクロスをさっと広げて運ばれてきました。 出発の朝まで、優雅で豊かな気分に浸れたBrown's Hotel、おすすめホテルです。

Afternoon tea at Brown's Hotel

◆ いよいよ憧れのアフタヌーンティ

 アフタヌーンティは普通午後3時くらいから夕方6時くらいにとるのが慣習ですが、Brown's Hotelは人気があるためか午後2時から受け付けています。私達も遅い昼食替わりに予約したのですが、その日は午後2時しか空いていなかったほどの盛況ぶりでした。
 格調高いソファーとティーテーブルに案内され(もっとも前夜遅くにこのホテルに到着し、皆で軽くお酒をいただいたときと同じ席だったのですが)、各人が好みのお茶をオーダー。ダージリン、セイロン、アールグレイ、ホテルブレンド、カモミールティーと私達もてんでばらばらに注文したのですが、それぞれウェッジウッドのポットサービスでたっぷりと出てきました。

 おなじみ3段トレー1段目にはサンドイッチがぎっしり。(5人分だからぎっしりになったみたいです。)「こんなサンドイッチ食べたことない!」と母をうならせたサンドイッチは、スモークサーモン、クリームチーズ、ハムとキューリなどの中身がびっしりと詰まったいるのに上品な小ぶりのひとくちサイズ。卵サンドは小さなバターロール。トレー2段目には、アフタヌーンティにかかせないスコーン。プレーンとレーズン入り。別皿にクロテッドクリームとジャム。3段目には、これもまた小さな小さなプチケーキが彩りも鮮やかに並んでいます。野いちごのタルト、チョコレートケーキ、小さなエクレア、シュークリーム風、etc.

 これだけでも実は残ってしまうほどだったのですが、「お茶のお代わりはいかがですか?」「サンドイッチ、ケーキのお代わりは?」となんとお代わりもし放題だったようです。サービスしてくれた女性も物腰が静かで感じよく、慣れているのか写真も撮ってくれました。

 その後私達がこのホテルに3泊している間、年始というヨーロッパでは比較的空いている時期にもかかわらず、このラウンジはいつも盛況でした。それも6時半を回ってもゆったりとお茶を飲んでいる優雅な光景は、時間に追われる普段の私達の日常を忘れさせてくれる別世界。日本人というよりも世界、イギリス各地のお客様が多かったようです。私達の部屋へはなぜかそのラウンジをつっきって行くのですが、その優雅な雰囲気の中を宿泊客として堂々と通り抜けて部屋へと向かう気分も結構いい気分でした。一人25ポンドという値段はちょっと奮発ですが、格調高いホテルで味わうこんな至福のひとときを思えば、決して高い値段ではないと思います。Brown's Hotelおすすめです。

◆ 実はトイレも有名?

 もうひとつ追記。実はここのトイレがおすすめなんです。ここを利用した人たちがこぞってインターネットで書いていたので私も興味津々。宿泊していたので特に行く必要はなかったのですが、のぞきに行ってみました。

 女性用の案内の方へ行くと、え?ここがトイレと一瞬びっくり。ひろびろとした応接室風の部屋にはソファーや暖炉、ついたてなどが。確かに脇には手洗いや鏡が備えられていて、さらに奥にはちゃんとトイレがありました。私が行ったときにも、イギリス人の(?)若いお母さんが子供を遊ばせていて、きっと上のラウンジで子供がむずかったのでしょう、そんな時間つぶしにも使えるようでした。
 その昔イギリス華やかなりし頃の優雅な上流階級のご婦人たちが、ここでうわさ話の花を咲かせていたのかしらなんて、想像してしまいました。

Brown's Hotel

Albemarle Street, London, W1S 4BP
Tel:020-7493-6020
http://www.brownshotel.co.uk/


Single L.258 - Double L.262 -



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