◆ シシングハースト・カースル・ガーデン ◆

(Sissinghurst Castle Garden)

Sissinghurst Castle Garden
Sissinghurst, Cranbrook,
Kent

Open
April 1 - Oct. 15,
Tuesday - Friday, 13:00 - 18:30,
Saturday, Sunday, & Good Friday, 10:00 - 17:30,
(Closed Monday)

For further enquiries:
Robert Woods, Visitor Services Manager, Tel:01580 715330 Fax:01580 713911
Sissinghurst castle garden, The Elizabethan Tower


◆◆◆ シシングハーストと聞いただけで、胸ときめかす人も多いと思います。白とクリーム、銀葉が絶妙に取り入れられたあのホワイト・ガーデンをすぐに思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうし、その生涯自体、物語のヒロインのように生きたヴィタ・サックヴィル・ウェストを思い出す方もいらっしゃるでしょう。
  私もそうでした。知的でハンサムなご主人ハロルドと生涯添いとげ、互いに励ましあい啓蒙しつつ数々の書簡を交わし、そして協力してこんな完成された庭造りを成し遂げながら、ヴァージニア・ウルフを始めとする女友達と浮き名を流す。なんて奔放で華やかな人生なんでしょう。

  そんな華やかな私生活とは裏腹に、ヴィタの書いた"In Your Garden"を読むと、彼女の植物への限りない愛着、尽きせぬ好奇心、美的配色、配置へのこだわりを知って驚くのです。イギリスでもたぐいまれな高貴な生まれでありながら、1輪の花、一握りの土塊に対しても強いこだわりを持つ彼女。シシングハーストを実際に訪れ、そんな彼女にますます魅せられてしまった私でした。

 シシングハーストはロンドンから南東へ約60km。交通の便が悪いため私達はロンドンからのツアーを利用しました。(みゅうバス(ミキ・トラベル)、Tel:0799-051-1526)毎週金曜日運行でケント州の庭園シシングハーストを1日巡って54ポンド。Victoria Coach Stationを8:45発です。

  個人の庭にしてはあまりに立派すぎるプライベートガーデン、Edenbridge House(写真:扉ページ)を見学した後、昼過ぎにシシングハーストに到着。週末ではなかったため人数制限もなくすぐに見学できました。
Yew hedges which form the center of the rose garden


 まずはヴィタが執筆活動をしていたという書斎のある塔へ。階段が狭いためここは人数制限があり、しばらく待たなければなりませんでしたがそれでもこれは正解。後になるとさらに混んで、待つ行列も長くなっていました。
  塔のてっぺんから見渡すと庭園の全容を見ることができます。あ、あれがホワイトガーデン、遠くには果樹園、とこれから回るガーデンの配置を知ることができました。
 そしてやっぱり最初はホワイトガーデン
  薔薇の季節は終わっていて、白い野薔薇のドームは葉っぱだけでしたが涼やかな木陰を作り、その真下にはヴィタがお母さんから譲り受けたという立派な壺。白いコスモス、ムスクマロウ、白いセージのやさしい花々の間には、ラムズイヤー、ラベンダーなどのシルバーリーフがきれいに配置されています。どの季節でも見応えあると言われているその通りでしたが、やっぱりいつか白薔薇の季節に来たいなぁ。
White garden, the urn under the rose tree

 薔薇の季節は終わっていましたが、クレマチスがそこここで見事でした。
  それも日本ではあまり見たことのない小さな小さな花の種類が、古いレンガの壁を一面に覆い隠して咲いていました。

  さすがに見学者は世界中から集まってくるのでしょう。私達の周りを飛び交う言葉はドイツ語、イタリア語、さまざま。でも世界中から人を惹きつける魅力がこの庭には確かにあります。
Clematis wall in the background
 花の色あわせの絶妙さ、よく手入れされ考えられた配置、そんな美しい花々とヴィタが発掘したという古いレンガの壁や建物が、見事なまでに調和しているのです。

  そしてこの庭を作り上げた女主人の密やかで華麗な物語。訪れる人に何か秘密めいた胸ときめく感動を与えるのは、そんなこの庭園の持つ物語性なのでしょう。

  その物語性の魔力に捕らえられてしまったのか、私はここでヴィタの本を数多く買い込んでしまいました。In Your Garden, In Your Garden Again, そしてNigel NicolsonのVita & Harold。う〜ん、庭、というよりも、ヴィタにはまっていく〜〜〜。


 Back to CONTENTS Journey to England(イギリス旅紀行、目次へ)
 Back to CONTENTS (目次へ)